こないだのグラぽ先生のネタに反応して書き始めてたんだけども、 手痛い敗戦を喫した後だからこそ、形にして残しておくことにした。
あくまで個人的な考え方だけども、キーワードになるのは「期待値」なのだと思っている。 それはチームが描く長期的、中期的、短期的な目標に対する期待値でもあるし、 選手個々人が自分のキャリアとして思い描いているそれらに対する期待値でもあるし、 取り巻くサポーター、ファン、スポンサーが思い描くものに対する期待値でもあるのだけど。
例えばヴィッセル神戸だと今年含めた短期的に期待されているのは「優勝」以外にないはずで、 今年そこに向けた進路の雲行きが怪しくなっているからこそ解任論が出てきているわけだ。 サンフレッチェ広島で森保監督が退任(という名の解任)となったのも、 中期的な期待としての「世代交代」が上手くいかないまま、 短期の最低限の目標としての「残留」までが覚束ない位置となったことで、 テコ入れを図ったというのがわかりやすい構図だと思われる。
で、翻って名古屋について。 監督解任論すら出るほど意見が分かれている要因というのは、 たぶんチームの期待値と現在地の相違にあるんだろう。
昨年の降格が何かの間違い、もしくは監督小倉に全責任があると考えていて、 監督さえ変えればJ1昇格など容易い、と心のどこかで思っていた人は、現状に不満を持つはずだ。
逆に、昨年の降格を選手のクオリティやフロントも含めたチームとしての 総合力のなさととる部分が大きい場合、 現状には不満を示しつつももう少し積み上げの結果を確認したいという 意識が出てくるのではないだろうか。
その意識の差になるのは最初に言った「期待値」で、前者のタイプの人なら 「今年J1に昇格するのが当たり前」なんだから解任も当然なのだ。 むしろ遅すぎるくらいだと言っていい。 「解任したからといって良くなるかどうかは分からないが、今のままではダメだ」 が合言葉になるのだろう。 例えば「今年昇格しなかったらトヨタはスポンサーから降ります」と明言されていたとしたら、 そういう姿勢で臨まざるを得ないのだろうなあとも思ったりする。 このあたりの意識、ファン・サポーターは意見が分かれたうえで、 さらにチーム側の意識とも乖離があるように思う。
チーム側は方々でも言っている通り、短期的な目標として「1年でのJ1昇格」を掲げているけれども、 それだけではなくて中期的な目標として「J1を優勝し、アジアに出られるチーム作り」 長期的な目標として「地元に愛される攻撃的なサッカーをできるチーム」を掲げている。 チーム側が昨年の惨劇を「何かの間違いだから何も変える必要がない」と思っているのであれば、 短期的な目標である「1年でのJ1昇格」のみを前面に出せばいいはずで、 これは「昨年までのチームはダメだった、変わらなければいけない」という意志を、 中期的長期的目標に託しているように見えるのだ。
そう考えると、チームの現状を考えるにも短期と中長期両面で見るのがフェアなのではないか。 その目線で現在地を見てみると
短期:守備の拙さで勝ち点を落とし、残り20試合で自動昇格圏と勝ち点9差。黄信号。 中期:10年近く無いに等しかった若手の成長が見られている 長期:未知数だが、ユースまでメソッドが行き渡るなら大きな価値は生まれる
といったところだろうか。 この短期の部分と中期の部分をどうとるかで、評価が大きく分かれるはずだ。
とはいえ、今の時点でチーム側が監督解任を考えることはなさそうだ。 それは中期、長期の目標をみても断言できる。 では、もし決断をするとしたらいつにすべきか。 僕はここにも「期待値」が関わってくると思っている。
ただし、その期待値はどちらかというとは今シーズンではなく、 「このまま続けても来シーズン後の昇格も難しい」 となるかどうかに向けられそうな気がしている。
それは何故かというと、 「そうなった場合現有戦力が維持できず、ふりだしに戻らざるを得なくなる」 ということ。 風間監督の指導が技術の根本から見直しをかけさせる質のものである以上、 今年から来年で、「今年成長した中心選手」を多く失うことになった場合、 おそらく集められた選手のクオリティは下がったうえで昨年のキャンプと同じ位置からのスタートになるわけで、 そうなってしまえば2年目での昇格は覚束なくなるだろう。
なので、現状で僕が考えるなら、という意味での解任のタイミングは2つ。 「今季末までに、2年目でも昇格できないと選手が思うほど結果が出ず、求心力が低下した場合」 「2年目の1/3前後経過したあたりで、自動昇格できるペースに乗ってこない場合」 だと思う。 そうならないよう信じているし、そう願っているけど、はてさて。
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