【パワプロ】柊陵高校野球部監督 平居の鬱な日記 #000 プロローグ【栄冠ナイン】
<06年晩秋・某大学野球部グラウンド>
公立校からの甲子園出場の実績を引っさげ、入学した某強豪大学。
しかし、そうそうの腰のケガなどもあり、大学を辞める話もあったが、
理論的な能力を買われたか監督に請われてマネージャーに転向。
将来の指導者を目指しながら、日々の練習のサポートとリハビリ、
そして教職取得に向けた勉強の日々。
そうして迎えた4年の秋の練習中、監督から声をかけられる。
「おい平居、就職活動は順調か?」
ぜんぜん順調じゃないですよ。
公立の教員採用試験は落ちたし。
私立も適性検査は受けたけど音沙汰ないし。
「そうか、お前は先生志望だったな。お前なら向いているだろうな。」
監督に太鼓判貰ったって就職決まるわけじゃない。
「まあそう言うな。お前は愛知県出身だっただろ?」
いかにも愛知県出身です。自慢じゃないけど甲子園にも出ましたが。
「そっちに戻る気はあるか?」
就職できるならなんでも。愛知でも試験は受けたし。…落ちたけど。
「そうか。オレの同期から、若い後釜探しを頼まれてるんだが」
はあ。でも監督じゃあボランティアみたいなもんでしょ。
僕が欲しいのは就職のクチなんすよ就職の。
「これがまた講師の口+監督で、正規職員の待遇保障、ということらs」
『詳しい話をお聞かせいただけませんか監督!』
なんでもその高校は愛知県の某半島にある比較的新しい私立の高校らしい。
そこの監督は50くらいの年齢なのだが、高齢の親の介護のため故郷に戻るらしく、
教え子の中でも一番人脈の広いうちの監督に、人選についてのお願いがきたようだ。
それにしても何で僕なんすか監督?
「あちらさんの学校の要望が、なるべく若い人にチャレンジの場を与えたい、ということだそうだ。その学校のOBでも本来はいいと思うんだが、そこらへんは何故だかわからんな」
うーん、でも先生+監督で雇ってもらえるなら願ってもない話。
受けてみたいところだ。
「そう言ってくれると思って、もう既に有望な卒業予定の奴に話を聞かせに行くと言ってあるんだ」
ちょ、監督、ありがたいけど先走りすぎです。
で、その高校ってなんてところなんですか?
「柊陵高校だそうだ。聞いたことある?」
少なくとも高校時代には対戦していないな。
まあ、せっかくの就職のチャンスだ。久々に故郷に帰って、話を聞いてみようか…
<06年初冬・柊陵高校グラウンド>
柊陵高校は某H市の私鉄沿線に2年前に新設された学校だった。
この少子化の流れの中で新設とは恐れ入る。
「おお、君が平居くんか。○○から話は聞いているよ、とても優秀な学生だって」
ありがとうございます。どこら辺が優秀かは正直分からないけど。
「さて、一応私のほうには、話を受けるつもりで来てくれると聞いているけど、それでいいんだね?」
なんとも言いづらいけど、まあそうですね。
「条件的には○○の言った通りの内容だ。今の私もそうだが、日本史の講師枠との兼任で、授業の組み方などは部活動などにもある程度配慮してくれる」
非常にありがたい内容だ。
「しかし1点だけ、○○に言っていない条件がある」
は?
「就任5年以内で甲子園に出場することだ」
はい?
「うちの校長がなかなかの野球好きでな。野球部用に近隣のグラウンドを通年借用してくれたりと、かなりのバックアップをしてくれている。私はその時にこちらにお世話になり始めて、こつこつと強化を続けてはいたんだ、しかし。」
まあ、S美みたいな例外もあるが、
よほどの幸運に恵まれないと2年じゃ甲子園は厳しかろう。
「そんな中、私の家族の問題が起こってしまってね。仕方なく年度いっぱいでの辞任を申し出たのだが…
代わりの人材を紹介してほしい、若くて、指導力のありそうな人をと言われてしまったわけだ」
指導力がありそうなって、指導経験のない僕に話が来た理由が分からないが。
「○○から聞いているよ、それならうちでマネをやってる学生にちょうどいいのがいる、あいつなら頭も良くて目配りも出来るし、未経験でも適任だって」
監督…人を買いかぶりすぎだ。で、期限は5年と。そっちの理由は?
「まあ、校長が趣味でやってることにも期限と限界があるんだろう、と私は思っているがね。」
確かに、反対する人、気に入らない人もいるだろうし、私立の学校としては宣伝というところもあるだろう。
5年か…
もし無理だったとしても、先生として真面目にやってれば継続雇用の目もあるかも分からんし。
「最初から失敗を考えるのは良くないとは思うが、その可能性はあるだろうな。…受けてくれるかな?」
分かりました。やります。
「ありがとう。うちのチームはもう冬練習に入っているから、来期への指導はこちらで行っていく。君も教師の業務は4月からだが、卒業した後は少しずつ指導に加わって欲しい」
こうして、平居は高校野球の監督としての一歩を踏み出すこととなった。
それは、思い通りにならない高校生たちとの格闘という、苦難の道の第一歩であった。
公立校からの甲子園出場の実績を引っさげ、入学した某強豪大学。
しかし、そうそうの腰のケガなどもあり、大学を辞める話もあったが、
理論的な能力を買われたか監督に請われてマネージャーに転向。
将来の指導者を目指しながら、日々の練習のサポートとリハビリ、
そして教職取得に向けた勉強の日々。
そうして迎えた4年の秋の練習中、監督から声をかけられる。
「おい平居、就職活動は順調か?」
ぜんぜん順調じゃないですよ。
公立の教員採用試験は落ちたし。
私立も適性検査は受けたけど音沙汰ないし。
「そうか、お前は先生志望だったな。お前なら向いているだろうな。」
監督に太鼓判貰ったって就職決まるわけじゃない。
「まあそう言うな。お前は愛知県出身だっただろ?」
いかにも愛知県出身です。自慢じゃないけど甲子園にも出ましたが。
「そっちに戻る気はあるか?」
就職できるならなんでも。愛知でも試験は受けたし。…落ちたけど。
「そうか。オレの同期から、若い後釜探しを頼まれてるんだが」
はあ。でも監督じゃあボランティアみたいなもんでしょ。
僕が欲しいのは就職のクチなんすよ就職の。
「これがまた講師の口+監督で、正規職員の待遇保障、ということらs」
『詳しい話をお聞かせいただけませんか監督!』
なんでもその高校は愛知県の某半島にある比較的新しい私立の高校らしい。
そこの監督は50くらいの年齢なのだが、高齢の親の介護のため故郷に戻るらしく、
教え子の中でも一番人脈の広いうちの監督に、人選についてのお願いがきたようだ。
それにしても何で僕なんすか監督?
「あちらさんの学校の要望が、なるべく若い人にチャレンジの場を与えたい、ということだそうだ。その学校のOBでも本来はいいと思うんだが、そこらへんは何故だかわからんな」
うーん、でも先生+監督で雇ってもらえるなら願ってもない話。
受けてみたいところだ。
「そう言ってくれると思って、もう既に有望な卒業予定の奴に話を聞かせに行くと言ってあるんだ」
ちょ、監督、ありがたいけど先走りすぎです。
で、その高校ってなんてところなんですか?
「柊陵高校だそうだ。聞いたことある?」
少なくとも高校時代には対戦していないな。
まあ、せっかくの就職のチャンスだ。久々に故郷に帰って、話を聞いてみようか…
<06年初冬・柊陵高校グラウンド>
柊陵高校は某H市の私鉄沿線に2年前に新設された学校だった。
この少子化の流れの中で新設とは恐れ入る。
「おお、君が平居くんか。○○から話は聞いているよ、とても優秀な学生だって」
ありがとうございます。どこら辺が優秀かは正直分からないけど。
「さて、一応私のほうには、話を受けるつもりで来てくれると聞いているけど、それでいいんだね?」
なんとも言いづらいけど、まあそうですね。
「条件的には○○の言った通りの内容だ。今の私もそうだが、日本史の講師枠との兼任で、授業の組み方などは部活動などにもある程度配慮してくれる」
非常にありがたい内容だ。
「しかし1点だけ、○○に言っていない条件がある」
は?
「就任5年以内で甲子園に出場することだ」
はい?
「うちの校長がなかなかの野球好きでな。野球部用に近隣のグラウンドを通年借用してくれたりと、かなりのバックアップをしてくれている。私はその時にこちらにお世話になり始めて、こつこつと強化を続けてはいたんだ、しかし。」
まあ、S美みたいな例外もあるが、
よほどの幸運に恵まれないと2年じゃ甲子園は厳しかろう。
「そんな中、私の家族の問題が起こってしまってね。仕方なく年度いっぱいでの辞任を申し出たのだが…
代わりの人材を紹介してほしい、若くて、指導力のありそうな人をと言われてしまったわけだ」
指導力がありそうなって、指導経験のない僕に話が来た理由が分からないが。
「○○から聞いているよ、それならうちでマネをやってる学生にちょうどいいのがいる、あいつなら頭も良くて目配りも出来るし、未経験でも適任だって」
監督…人を買いかぶりすぎだ。で、期限は5年と。そっちの理由は?
「まあ、校長が趣味でやってることにも期限と限界があるんだろう、と私は思っているがね。」
確かに、反対する人、気に入らない人もいるだろうし、私立の学校としては宣伝というところもあるだろう。
5年か…
もし無理だったとしても、先生として真面目にやってれば継続雇用の目もあるかも分からんし。
「最初から失敗を考えるのは良くないとは思うが、その可能性はあるだろうな。…受けてくれるかな?」
分かりました。やります。
「ありがとう。うちのチームはもう冬練習に入っているから、来期への指導はこちらで行っていく。君も教師の業務は4月からだが、卒業した後は少しずつ指導に加わって欲しい」
こうして、平居は高校野球の監督としての一歩を踏み出すこととなった。
それは、思い通りにならない高校生たちとの格闘という、苦難の道の第一歩であった。
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