闘鷲降臨~終わりにするか、続けるか(B1ライセンス問題雑感)#FE名古屋
2018年4月4日。2018-19シーズンのクラブライセンスについてBリーグから発表された。
来季のB1昇格に向けて苦戦しつつも中地区1位に立つファイティングイーグルス名古屋。昨季もこの時期にB1ライセンスが発行されないことが判明し、今年こそと臨んでいたが、今年も涙を呑んだ格好だ。それについてチームからもリリースがされている。
Fイーグルス名古屋は、かねてよりB1ライセンスの取得を申請しておりましたが、B1ライセンスの施設基準である5,000人収容のアリーナ確保について、現時点では課題が残るとの判断がなされ、来シーズン(2018-19シーズン)は「B2ライセンス」の判定となりました。 今後も引き続き、B1ライセンスの取得に向け、アリーナ確保に向けた努力を続けてまいります。
引用部分にもある通り、今年も5,000人規模のアリーナ計画の部分の課題を解消しきれなかった、というのがコメントからはっきり分かる。このアリーナ問題について「どうせそんなに入ってないんだしそんなに人数いらないんじゃないか」と言いたくなる気持ちはファンとしてはあるのだろうけど、B1に上がったレベルで入場者収入では運営していけないような状況にチームが陥ることは避けなければいけないし、目的として「2週間に1回、週末に4,000~5,000人を動員する」程度の影響力を目標にしないでなにがプロか、という風にも思ったりする。Jリーグの反省も取り入れつつ、プロにすることを選んだBリーグに、自ら選んで加盟しているのだから決定は受け入れなければならないだろう。
となると気になるのは今後どうするか、というところなのだけど、それについて手厳しい意見が大河チェアマンその人から寄せられている。情報サイト「バスケット・カウント」さんの取材記事に掲載されているのでリンクを張りつつ引用させていただく。
大河チェアマンはFE名古屋の状況をこう説明する。「FE名古屋は豊田通商が親会社で財務基盤に問題はないし、入場者数も増やしている。それでも、残念ながら5000人以上のホームアリーナを確保できずにB1ライセンスを得られなかった。これを親会社が真摯に受け止めないと選手が逃げて行ってしまう。アリーナ問題をどうするのかは、豊田通商を含め『このクラブをどうしたいのか』という根本の問題。私は選手がかわいそうかなと思っている」
恐らく、チームに関わるフロント、選手、首脳陣、ファン・ブースターが「分かっていたことだけど向き合ってこなかったこと」に対して、リーグのトップから切り込まれた形となってしまった。
昨シーズンのライセンスの結果が出たタイミングやシーズン終了のタイミングでちょいちょい呟いていたことではあるのだけど、ファイティングイーグルス名古屋というチームは豊田通商バスケットボール部が母体で、ここまで2シーズンを「豊通バスケ部」としてプロの世界でどこまで行けるかというチャレンジとして過ごしてきたように見える。運営が豊通の方々であるのはまあ当然としても、選手も半数以上が社員、監督も社員という家内制手工業の趣が色濃い。それは昨年はある種牧歌的で良くも悪くも「プロらしくない」会場の雰囲気を作り出していた。ただ集客的には振るわず、今年は会場と集客の面ではかなり「プロ仕様」で臨んでいて、その部分は大きな成果をもたらしている(招待券がどの程度の比率含まれているのかは気になるけれど)。
その一方で、酷いとひとことで言い表されてしまいそうなミッドウィークゲーム時のコンディションやら、ACが時折見せてくれる練習風景を見る限りだと、社員選手はあくまで社員であってリーグ戦を優先した生活が出来ているとは言い難いのも確かなようだし、監督も社員らしいことを考えるとそれは四六時中バスケのことを考えられる他のチームの監督に比べて戦術の詰めが甘くなるのも致し方ないとしか言いようがない。
昨年から引き続きチームを割と近くで見せていただいていて、選手も首脳陣もフロントも、自分にできることを真剣に、出来る限りのことをやろうとしていることははっきり伝わってくる。ただ、ここまでくると、プロチームとしてのFE名古屋と、豊通バスケ部の両立が、それぞれの人にとってキャパオーバーの様相を呈しているのは隠し切れない事実となってしまっているように思うし、大河チェアマンが指摘したのもそういう部分なのではないだろうか。
もちろん、このチームにどれだけリソースをかけ、チームをどこまで行かせたいかを決めるのは豊田通商の方々であって、外から見ているファンの決めることではない。選手それぞれの人生だって同じで、安定した社員の生活を捨ててプロになるという決断を他人が押し付けることはできはしない。ただ、「アマチュアのままでいい」と思っていたとするなら、どうしてBリーグに加盟したのか、ということになってしまう。現場の人たちは頑張っている。ファンも(今のところは)支える気満々で待ち構えている。そこに対して、進歩は終わりとするのか、それとも高みを目指して飛び続けるのか。大河チェアマンが代弁してくれたことは僕も知りたいし、高みを目指すというならば3年でも5年でも粘り強く支えたい。豊通本社が、そうさせてくれる決断をしてくれることが、今の僕の最初の望みかもしれない。
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