闘鷲降臨~2017-18シーズンレビュー選手編その4:#14兒玉、#15シェリフ・ソウ #FE名古屋
[14]兒玉 貴通
今シーズン、大塚商会アルファーズより脱サラ、プロとしてB2デビューを果たした兒玉。シーズン前の練習試合等で攻守ともにエネルギッシュなタイプという風に見ていたが、開幕戦の仙台戦で同じタイプのベテランスター志村に格の違いを見せつけられたのを皮切に、しばらくの間はB2の、特に守備の圧力にアジャストしきれない時期が続いた。
しかし、裏では相当の努力を続けていたことだろう。状況は少しずつ変化していく。10月の終わりの対広島アウェーの節にて良い内容のプレーで能力を証明すると徐々に信頼とプレイングタイムを勝ち取っていき、3月に入るとやや精彩を欠く成田に代わってスタメン入り。最後までその座を守り続けた。
彼の良さはもちろんその運動量を活かしたしつこい守備なのだけど、もう一つの特徴がドリブルからのプルアップジャンパーの正確さにあると思う。昨シーズンに比べてインサイドポストの比率を減らし、ピックからの展開を増やしたように見えるこのチームの攻撃にあって、ビッグマンのダイブで空いたギャップで彼が放つプルアップが非常に良いアクセントになっていたのは間違いない。また、そういうシュートが得意な割にはキャッチ&シュートも良く入っていて、3Pシュートが40%を超えてきたのは立派のひと言と言えるだろう。その上でシーズン終盤はドライブインからのフィニッシュの頻度も増やしていて、今シーズンを通して最も成長した選手といえるだろう。
ただし、その身長はチームの穴になりがちというのも間違いないところで、直接的なポストアップであればまだチームの予測の範囲で対処が出来るのだけど、他のところでギャップが出来た後に彼が後追いでサイズの大きいシューターに当たるとなるともうこれはいかんともしがたい。来シーズンも本人のポジショニング、そしてチームとしてどれだけ精緻な守備のカバーローテやポジショニングが組めるか、というのは大きな課題になっていきそうだ。
とはいえ、今シーズン彼がもたらした攻守でのエナジーを考えると、そうしてでも使うべき選手、という地位を自らの手でつかんだと言えるだろう。この成長をもたらしたのが同じタイプの志村に開幕でやられたこと、だとしたら志村には感謝しなければならない。ともかく、来年も一緒に闘いたい、さらなる成長を見たい選手の一人だ。
[15]シェリフ・ソウ
昨シーズンはソロモンのバックアップとしてパワー不足に悩める日々を過ごしたシェリフ。今季は新規加入したビッグマンに力仕事を任せて3.5番的な役割で躍進を、というチーム構成で、プレシーズンまでの戦い方を見る限りそれはなかなかに面白い形であったと思うのだけど。細菌性髄膜炎、という思いもよらないアクシデントが彼を襲い、結果としてシーズンを棒に振ることとなってしまった。
予後は大方良い病気であるとはいえ、悪い方向に向かうと復帰すら危うくなるだけに心配されたが、体調自体はすでに回復、トレーニングは順調に積めている様子なのは何より朗報だろう。
外国籍の枠との問題もあるし、来日から数えておそらく10年、結婚もしたし社員選手として働けるレベルに日本語も堪能とくると、帰化という話が出てくるのも時間の問題で、リーグの外国籍選手のレギュレーションとの兼ね合いで、彼の扱いは変わってくるものと推測されるが、まずはフィジカルレベルを回復し、その上でスキル向上、というのが彼に求められるだろう。
艱難辛苦汝を珠にす。今年の経験は、今後の彼の人生にも、現役生活にも、きっとプラスを与えてくれるはずだ。来季はコート上で、彼の不屈のプレーを見られることを切に願っている。
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